日本国憲法
人権思想の発達と日本国憲法
| 1 | 人権を保障するために法(憲法)を定め,その法にしたがって権力を行使することを〔 〕主義(政治)という。 |
| 答 | 立憲 |
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立憲主義というのは,憲法の力で国家権力を制限して,国民の権利や自由を守ろうという思想をいい,民主政治の基本原則です。憲法とは,国家権力を抑制する道具であり,この考え方が根付いたのが17~18世紀の市民革命だった。 |
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| 2 | 明治憲法では,三権分立が採用されていたが,天皇は〔 ① 〕の総攬者として三権は天皇に属していた。また軍の命令指揮権も天皇にあり,〔 ② 〕の独立として議会や内閣はこれに関与できなかった。 |
| 答 | ①統治権 ②統帥権 |
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明治憲法(大日本帝国憲法)では,天皇は国家元首であり,主権者であり,立法・行政・司法の総攬(そうらん)者であるとさられました。「総攬」とは権力を一手に握るという意味です。その地位は「万世一系(永遠に受け継がれる)」であり,神聖不可侵とされました。 |
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| 3 | 明治憲法が保障する基本的人権は,〔 ① 〕権・〔 ② 〕権・〔 ③ 〕権であった。 |
| 答 | ①自由 ②参政 ③請求(順不同) |
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明治憲法が保障する「臣民の権利」は,自由権を基本として,参政権・請求権だけでした。さらに日本国憲法と比べるとかなり限定的です。 |
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| 4 | 明治憲法のもとで帝国議会は天皇の立法権に同意する〔 〕機関と位置づけられていた。 |
| 答 | 協賛 |
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明治憲法は外見的には権力分立の形をとっていましたが,立法権・行政権は天皇に属していました。そこで帝国議会は立法権をもつものではなく,天皇の協賛機関という地位にありました。「協賛」とは,天皇の立法権行使(法律・予算など)に協力し,同意(賛成)するという意味。 |
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| 5 | 明治憲法のもとでは,内閣は〔 〕に対して責任を負っていた。 |
| 答 | 天皇 |
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明治憲法では,行政権も天皇にあり,国務大臣は天皇の統治権を輔弼(ほひつ)して行政権を行使すると規定されていました。内閣は天皇の輔弼機関というわけです。「輔弼」とは助言したり,援助したりすることです。 |
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| 6 | 国家の重要問題に関して,天皇の諮問に答えるために〔 〕が設置され,内閣や議会に大きな影響力をもった。 |
| 答 | 枢密院 |
| 内閣・帝国議会の上には,天皇の最高諮問機関として重要国務を審議する機関が設置されました。それが枢密院。「諮問」とは意見を尋ねることです。 憲法制定のために設置され,初代枢密院議長は伊藤博文です。その後も憲法問題を扱ったため,明治憲法下では「憲法の番人」とよばれていました。 |
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| 7 | 明治憲法のもとでは,〔 ① 〕裁判所の設置が認められており,軍法会議・皇室裁判所・〔 ② 〕裁判所があった。 |
| 答 | ①特別 ②行政 |
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明治憲法のもとでは,司法権はある程度独立しており,裁判所がもっていましたが,天皇の名において裁判はおこなわれました。 |
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| 8 | 明治憲法の改正の発議権は〔 〕にあった。 |
| 答 | 天皇 |
| 9 | 明治憲法下の民法では,家族の中心は〔 ① 〕で,その地位は〔 ② 〕相続が原則であった。 |
| 答 | ①戸主 ②長子 |
| 10 | 戦後,幣原(しではら)喜重郎内閣のもとで明治憲法改正案が作成(松本草案)されたが,〔 〕はこれを拒否し,〔 〕草案をもとにして日本国憲法が制定された。 |
| 答 | マッカーサー(GHQ) |
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GHQに提出された松本烝治東大教授の改正案は,もとの明治憲法の字句修正でしかなかったため,マッカーサーによって一蹴され,GHQ側が作成した土台をもとに新憲法が作成されました。 |
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| 11 | 憲法は国の最高法規と位置づけられ,天皇や大臣,国会議員,裁判官など,公の地位にある人々には憲法〔 ① 〕・〔 ② 〕の義務がある 。 |
| 答 | ①尊重 ②擁護 |
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これまでみてきたように,憲法を守る義務があるのは,国民ではありません。国家権力を行使するものです。 【第99条】 |
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| 12 | 国連で採択された人権に関する条約には,あらゆる人種差別の撤廃に関する〔 ① 〕(1965),国際人権規約(1966),女子差別撤廃条約(1979),子どもの権利条約(1989),障がい者の権利に関する〔 ② 〕(2006)などがある。 |
| 答 | ①人種差別撤廃条約 ②障がい者権利条約 |
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国際人権規約は,社会権規約(A規約)と自由権規約(B規約),それにB規約の選択議定書から成り立っています。「議定書」というのは,条約を補完するための下位の条約です。下位といってもそれはそれで独立した条約ですから,批准すれば拘束力をもちます。有名なのが,気候変動枠組み条約のもとで結ばれた「京都議定書」ですね。 |
国民主権・平和主義
| 1 | 皇位継承や皇室に関する法律を〔 〕という。 |
| 答 | 皇室典範 |
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皇室典範(てんぱん)は,戦前は憲法と双璧をなす地位にありましたが,現在では法律の1つです。名称だけが,戦前のものを引きつぎました。皇位継承は男系男子と決まっています。男系とは,男性の血筋という意味です。過去には一時的な女性天皇はいましたが,男系女性天皇です。そのあとは必ず男系天皇の血筋から天皇は即位してきましたので,女系天皇はこれまで存在しませんでした。そして現在は男系の男子と定められています。 |
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| 2 | 憲法改正の国民投票の手順を定めた法律を〔 ① 〕といい,投票年齢は〔 ② 〕歳以上である。 |
| 答 | ①国民投票法 ②18 |
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憲法改正の手続きについては,【第96条】に定められていますが,国民投票については過半数の賛成とあるだけで,具体的な投票制度についてはつい最近まで規定されていませんでした。つい最近とは2007年(2010年施行)です。投票年齢は18歳以上と定められ,これにともなって選挙法が改正され,2015年に選挙権が18歳以上に引き下げられました。 |
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| 3 | 自衛隊の最高指揮監督権は〔 〕にある。 |
| 答 | 内閣総理大臣 |
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【第9条】のもと日本は,戦前の反省,周辺諸国への配慮から,自衛隊の防衛力に対するさまざまな歯止めをかけてきました。文民統制,非核三原則,防衛費GNP(GDP)1%以内,集団的自衛権の否認などです。近年の傾向として重要なのは2点。 ・防衛費はGDPの2%を目標に増加傾向。 自衛隊の暴走を防ぐため,自衛隊の行動や権限については,内閣及び国会が指揮・監督する文民統制(シビリアン=コントロール)をとっています。 |
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| 4 | 非核三原則は,1967年,〔 〕首相が国会で言及し,71年に衆議院で決議された。 |
| 答 | 佐藤栄作 |
| 5 | 長年,日本の防衛費は対GDP比〔 ① 〕%と設定されていたが,近年〔 ② 〕への増額を目指している。 |
| 答 | ①1 ②2 |
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自衛隊が自衛のための必要最小限度のものならば,何をもって最小限度かを示さねばなりません。そこで1976年に,国民総生産(GNP)の1%を超えないことをめどとするという閣議(三木内閣)がなされ,中曽根内閣の1987年にこれを突破するまでの目安とされました。
世界の軍事費についても想像通り,1位はダントツ,アメリカ。2位が中国。アメリカは2001年,同時多発テロ以降,伸びていることに注意。そして中国の軍事費は年々増加していることにも注目しておく。 |
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| 6 | 安保条約に関連して,日本に駐留するアメリカ軍の施設やアメリカ軍との裁判管轄関係などを規定している協定を〔 〕という。 |
| 答 | 日米地位協定 |
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1951年,日米安全保障条約が結ばれます。1957年,米軍が使用する東京都砂川町の立川飛行場の拡張を巡って,基地反対派が飛行場内に侵入し,安保条約に基づく刑事特別法違反で起訴されました。これを砂川事件といいます。 |
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| 7 | 沖縄県の〔 ① 〕(宜野湾市)にあるアメリカ軍海兵隊基地は,安全性や騒音,アメリカ兵による刑事事件などから〔 ② 〕(名護市)への移転が計画されている。 |
| 答 | ①普天間 ②辺野古 |
| ※注意 以下超難問(超難関校向け)です | |
| 8 | 外国からの武力攻撃に対し,自国を防衛するため必要な措置をとる権利を〔 〕という。 |
| 答 | 個別的自衛権 |
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他国からの武力攻撃に対して,自国を防衛するため実力を行使できる個別的自衛権は,独立国家がもつ当然の権利だと考えられています。 |
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| 9 | 日本国憲法第9条により,アメリカが攻撃されても日本は共同防衛にあたることはできないという〔 〕の禁止が,1972年以来とってきた政府見解であった。しかし2014年,安倍内閣は憲法9条の解釈を変更して,〔 〕の行使の容認を閣議決定した。 |
| 答 | 集団的自衛権 |
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集団的自衛権とは,ある国が武力攻撃を受けた場合,攻撃を受けていない第三国が攻撃を受けた国を援助して共同で防衛にあたるというものです。日本の場合,日本が攻撃を受けた場合,アメリカが日本の防衛をおこないます。安保条約ですね。ところが逆に,アメリカが攻撃を受けた場合はどうでしょうか? |
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| 10 | 自衛隊が防衛出動をおこなうような緊急事態がおきた場合,自衛隊や政府諸機関が円滑に行動できるよう,あらかじめ法整備をおこなうことを〔 〕という。 |
| 答 | 有事立法 |
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安保条約はそもそも冷戦を背景としていました。具体的な相手(敵)はソ連です。そして安保条約に基づく具体的な防衛協力のあり方をまとめたものを「ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」といいます。 |
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| 11 | ソマリア沖やアデン海での海賊行為から,日本に関係する船舶の航行を守るための法律を〔 〕といい,これによって自衛隊や海上保安官の海上船舶護衛任務おける武器の使用が認められることになった。 |
| 答 | 海賊対処法 |
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きっかけはアフリカのソマリアを拠点とする海賊行為が急増していたことになありました。各国政府は海軍の戦艦を現地に派遣し、航行船舶の護衛をはじめていましたが,日本関係の船舶の護衛は外国に任せっきりの状況だったのです。 |
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| 12 | 日本の外交・安全保障の意思決定を,迅速かつ適切におこなうために,〔 〕(日本版NSC)が設置された。 |
| 答 | 国家安全保障会議 |
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有事関連法に基づいて,アメリカの国家安全保障会議(NSC)をならって設立された機関で,内閣総理大臣,外務大臣,防衛大臣,官房長官らで構成されます。 |
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| 13 | 日本の安全保障に関する情報のうち,特に秘密にすることが必要なものを〔 〕として指定し,この漏洩による罰則を定めた法律を〔 〕保護法という。 |
| 答 | 特定秘密 |
基本的人権の尊重
| 1 | アイヌ人に対して,明治政府は〔 ① 〕を制定し,農業用地の供与を目的にアイヌの共有地を奪った。この法律は1997年に〔 ② 〕が施行されたことで廃止された。さらに2019年,〔 ② 〕は〔 ③ 〕が制定されたことで廃止された。 |
| 答 | ①北海道旧土人保護法 ②アイヌ文化振興法 ③アイヌ施策推進法(アイヌ民族支援法) |
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幸福追求権【第13条】と平等権(法の下の平等)【第14条】はすべての人権の根底にあり,すべての人権を包括する権利です。だから憲法の条文で一番最初に登場する権利なんです。【第15条】以下と新しい人権を保障するための権利です。 |
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| 2 | 民法において,親族の範囲は〔 ① 〕親等内の血族,〔 ② 〕,〔 ③ 〕親等内の姻族とされている。直系血族・兄弟姉妹は互いに〔 ④ 〕の義務がある。 |
| 答 | ①6 ②配偶者 ③3 ④扶養 |
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民法には大きく2つのことが定められています。財産についてと家族・相続についてです。まずは家族について。
夫婦関係つまり婚姻(結婚)については,まず【第24条】に規定があります。「婚姻は両性の合意に基づいて成立し,夫婦は同等の権利を有する・・・。」ここでは「両性の合意」・「同等の権利」という語句が重要になります。「両性の同意」・「平等の権利」と誤らないこと。 次に親子関係。「親権」という言葉です。「未成年者は親の親権に服する。」【民:818条】親権とは,未成年者の教育・監督,財産の管理などの父母の権利です。民法の改正によって2022年4月から,成人年齢が18歳に引き下げられたことにともなって,婚姻年齢は男女とも18歳以上になります。同時に「未成年者の婚姻についての父母の同意」を求める条文は削除されます。 20歳以上のまま維持されたものには,酒・タバコ・公営競技(競馬・競輪など)があります。 |
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| 3 | 財産・家族について定めた現行の民法では,遺産相続は,配偶者が〔 〕,子が〔 〕を均分相続することになっている。 |
| 答 | 2分の1 |
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憲法の平等権は【第14条】のほかに【第24条】でも触れられています。家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等です。ここでは民法と女性差別についての問題をみていきます。
まずは日本が1985年に批准した女子差別撤廃条約によって女性差別問題の改善が大きく前進しました。 国籍法が改正され,それまで父が日本国民でないと日本国籍を取得できない父系血統から,父か母が日本国民なら取得できる父母両血統主義に改められました。(※基本的に国際結婚しても夫婦はそれぞれの国籍のままです。) そして男女雇用機会均等法の制定。この法律が制定される前は,住友セメント事件(女性の結婚退職制度),日産自動車事件(男女定年差),芝信用金庫事件(男女の昇進差)など職場でのさまざまな性差別が問題となりました。 また高校での家庭科の男女必修化もこの条約の求めるところにより実現しました。 条約締結後も実現していない内容の1つに夫婦別姓の問題があります。結婚後男女が同じ姓を名乗るというのは,1898年から施行された民法によって一般化したものです。現在でも夫婦はいずれかの一方の姓を名乗ることになっており,世界的にみてもこの制度は遅れています。夫婦別姓の制度は未だ日本では確立していないので注意しましょう。 ストーカー,DV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)といった被害者の多くが女性である問題も,本質的には人権意識が問題であるとされています。 |
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| 4 | 政治と宗教の結びつきを禁止する原則を〔 ① 〕の原則といい,〔 ② 〕の自由を守るためのものである。 |
| 答 | ①政教分離 ②信教 |
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自由権は,国家権力に干渉されない「国家からの自由」です。精神・身体・経済の3つにわかれることはすでにお話しました。ここでは自由権に関する注意点や裁判所の判例を挙げていきます。 |
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| 5 | 国の生活保護の基準は低すぎて憲法25条に反しているとして争われた生存権をめぐる〔 〕訴訟では,1967年に国側が勝訴した。 |
| 答 | 朝日 |
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自由権は「国家からの自由」でした。簡単にいうと「(国に対して)ほっといて!」。それで実際に「ほっとく」と20世紀はじめには,社会的・経済的格差が大きくなった。そこで社会権が生れる。これは簡単にいうと「(国に対して)何とかして!」です。そこで社会権は「国家による自由」とはよばれます。社会的・経済的弱者が人間らしい生活ができるように国家の積極的な介入を求める権利です。 |
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| 6 | 日本国民である要件を定めた法律は〔 〕である。 |
| 答 | 国籍法 |
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参政権は,基本的人権が保障されるために国民が国家に参加できるようにする「国家への自由」といわれます。選挙権・被選挙権の他,公務員の選定・罷免【第15条】も参政権です。戦後,男女普通選挙が実施され,選挙権の年齢も18歳以上になった今,参政権で問題になるのは国籍条項です。 |
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| 7 | 他人の行為によって損害を被った場合,その相手に対して損害を償うよう求める権利を〔 ① 〕という。また刑事裁判の手続きで,拘束などによって身体の自由が制限されていた人が裁判の結果無罪となったとき,国に対して刑事補償を請求する〔 ② 〕が認められている。 |
| 答 | ①損害賠償請求権(国家賠償請求権) ②刑事補償請求権 |
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国務請求権は受益権と表現されることがあります。「受益」とは「利益を受けること」です。利益を受けるのは国民で,授けるのは国家ですから,「国家からの自由」である社会権とよく似ています。したがって国家から何かを求める権利のうち,社会権以外のものをひっくるめて受益権としてまとめており,それは国民が基本的人権を確保するため国家の作為を要求することから国務請求権とよばれるのです。 |
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| 8 | プライバシーの保護や環境権など,憲法に明記されていない新しい基本的人権を求める際,援用されるのは憲法13条の〔 〕である。 |
| 答 | 幸福追求権 |
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まず新しい権利は,憲法の条文に明記されていないというのは大丈夫ですね。では憲法改正にあたって追加が決定されているかどうか?引っかかってはいけません。条文追加が望ましいとは考えられてるけれど,そんな決定はされていないので注意。 |
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| 9 | マスメディアの一方的な報道に対し,人々がマスメディアを利用して,反論したり意見を表明したりする権利を〔 〕という。 |
| 答 | アクセス権 |
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アクセス権とは「接近(アクセス)する権利」。マスメディアに個人の意見を発表する場を要求する権利で,表現の自由と知る権利を土台としています。相手が公権力ではなく,マスメディアであるという点が特徴です。 |



